GenieATMでホームネットワークやサブネットワークを定義する際は,通常ネットワーク境界も合わせて定義します。これにより,あるトラフィックが経由した複数のルータがフローを生成した場合に,フローコレクタがそれらのフローレコードを別々のトラフィックとして計上してしまう「ダブルカウント問題」を防ぐことができます。
下図のようにインタネットから4台のルータを経由してトラフィックがサブネットワークに届いた場合,すべてのルータがフローを生成する設定であればコレクタは4つのフローレコードを受け取ることになります。一般的にダブルカウントを避けるには,名寄せにより同一トラフィックを表すフローレコードを特定し,重複分を消し込む必要がありますが,非常に複雑な処理を要します。
しかし,例えばインターネット-ホームネットワーク間のトラフィックのみに着目したレポートを作成するのであれば,ネットワーク境界を定義することでダブルカウントを避けることができます。下図のように2つのルータR1,R2のインターネットに接するインターフェイスを境界と定めると,インターネット-ホームネットワーク間のトラフィックは,これらのインターフェイスを一度だけ通過します。したがって,そのときに発生するフローレコードのみを集計すれば正しいトラフィックレポートを作ることができます。
この例で,計上されるのはR1が生成するフローレコードのみです。トラフィックはR2も通りますが,境界インターフェイスは通過しないためR2のフローレコードは対象となりません。
同様にサブネットワークについても境界を設定することで,インターネットからのトラフィックもサブネットワーク間のトラフィックも正確に算出することができます。以下の例では,真ん中のサブネットワークの境界を定義することにより,他のサブネットワークからのトラフィックも,インターネットからのトラフィックも重複なくカウントすることができます。